
2025/06/26
「薄毛が気になるけれど、植毛って実際どれくらい効果があるの?」そんな疑問を持っている方にとって、植毛がどの程度の変化をもたらすのかは、非常に気になるポイントではないでしょうか。植毛は単なる増毛とは異なり、自分の髪を移植するので自然な仕上がりと長期的な維持が可能です。しかし、どれくらいの範囲をカバーできるのか、費用はどのくらいかかるのか、など、不安に思うことも多いはずです。
本記事では、植毛1,000グラフトの効果やカバーできる範囲、費用、手術時間について紹介します。薄毛対策として植毛を検討している方は、ご参考にいただければと思います。
自毛植毛とは、薄毛や抜け毛が気になる部分に自分自身の髪の毛を移植する治療方法です。髪を毛根ごと頭皮から採取し、気になる箇所に移植するため、定着後は自然と毛が生えはじめ、通常のヘアサイクルに戻ります。生着した毛髪は、半永久的に生え変わり続けます。
植毛は、髪の毛を1本ずつ移植するのではなく、毛根を包む「毛包」ごと移植します。この毛包の単位を「グラフト(株)」と呼び、1つの毛包(1グラフト)には、通常1本から3本の髪の毛が生えています。
AGAは、Androgenetic Alopeciaの略で、「男性型脱毛症」を指します。成人男性特有の進行性の脱毛症で、生え際や頭頂部の毛髪が薄くなっていくのが特徴です。遺伝や男性ホルモンの影響が主な原因とされており、放置すると進行してしまうため、早めの治療が重要です。
最近では、女性にも同様の症状が見られる「FAGA(女性男性型脱毛症)」も注目されています。FAGAは、女性ホルモンの低下やストレス、加齢などが関与しており、びまん性に髪が薄くなる傾向があります。
すべての毛包に3本の髪の毛が生えているわけではないため、植毛によって増える髪の本数は、一般的に「移植するグラフト数(株数)×2〜2.5」という目安で計算されます。そのため、1,000グラフトの植毛を行うと、約2,000〜2,500本の髪の毛が増えることが見込まれます。
また植毛では、1㎠あたり約100本〜125本(50グラフト)の髪を移植できるとされています。1,000グラフトを移植し、1㎠あたり50グラフトの密度で植えた場合、植毛範囲は約20㎠となり、これは大人の手のひらの半分のサイズに相当します。しかし、これらの数値はあくまで目安であり、実際の植毛密度は薄毛の進行度や施術方法によって異なるため、専門クリニックでのカウンセリングを受けることをおすすめします。
生え際のM字型の薄毛は、1〜1.5㎝後退すると目立ち始めるといわれています。1,000グラフトの植毛を行うと、M字を約2〜4㎝前進させることが可能です。そのため、薄毛の進行がまだ初期段階であれば、400〜600グラフト程度の植毛でもカバーできる場合があります。
つむじ周りは進行の程度にもよりますが、1,000グラフト植毛すると、既存毛の状況にもよりますが密度を1㎠あたり30~40グラフト移植することによって面積として33~25㎠の範囲である程度地肌が見えないくらいにはカバーできるとされています。しかし、進行が進み地肌が見える範囲が大きくなってしまっていると1,000グラフトでは足りない可能性もあります。
頭頂部も症状の進行の程度によりますが、1,000グラフトの植毛では気になる部分をカバーしきれない場合も多いです。この部位もつむじ周りと同様に計画を立てて移植しますが、頭頂部の植毛は少し多めに1,500〜2,000グラフトほどを目安に考えた方がいいかもしれません。
植毛にかかる費用は、クリニックや治療方法によって異なります。多くの場合、移植するグラフト(株)単位で料金が設定されており、植毛するグラフト数に応じて総額が決まります。
1,000グラフトを移植した場合の費用相場は、80万〜120万円程度です。一般的に1グラフトあたり700〜1,000円前後に設定されており、移植するグラフト数によって費用が変わります。さらに、一回の手術ごとに基本施術料金が別途でかかるクリニックも多くあります。正確な費用はクリニックの料金体系によって異なるため、事前にしっかりと確認することがおすすめです。
植毛には「自毛植毛」と「人工毛植毛」の2種類があり、維持費用に大きな違いがあります。
自毛植毛は、自分の毛包を移植するため、生着すれば基本的にメンテナンスは不要です。移植した毛は通常の髪と同じように成長し、生え変わるため、一度の手術費用は高めですが、長期的な維持費はほとんどかかりません。一方、人工毛植毛は人工の毛を植え込むため、成長せず生え変わることもありません。最終的には抜け落ちてしまうため、定期的なメンテナンスや植毛の繰り返しが必要となります。また、日本皮膚科学会男性型脱毛症ガイドラインによると人工毛植毛手術は有害事象の報告があるため米国では禁止されています。手術費用自体は自毛植毛より安い場合がありますが、維持費がかさむため、長期的に見ると費用負担が大きくなるケースもあります。
自毛植毛の手術時間は1,000グラフトの移植でおよそ4〜6時間かかります。これは、自身の毛包を採取してから移植するため、採取の工程がない人工毛植毛に比べて時間が長くなるためです。一方、人工毛植毛は毛包の採取を行わず、そのまま移植するため、手術時間は比較的短くなります。
また、手術時間には個人差があり、麻酔が効きにくい方や、長時間同じ姿勢でいることがつらいと感じる方もいます。しかし、手術中に細かく休憩を挟みながら進めることができるので、初めての手術で不安がある方も安心して受けられます。
治療当日から4日目までは、頭をぶつけたり、移植部に触れたりしないよう十分に注意してください。また、治療当日は洗髪を控え、翌日からはやさしく洗髪し、ヘアドライヤーの送風でしっかり乾かしてください。長時間の入浴や熱いお湯につかることも避けるようにしましょう。さらに、アルコールの摂取は控え、運動は4日目まで控えることを推奨しています。喫煙については、生着率に影響を与える可能性があるため、1週間は控えるようにしてください。
5日目から軽い運動をしても構いません。7日目以降は、通常の運動もできますが、移植部をこするような運動は控えるようにしてください。
治療後14日目以降は、通常通りの日常生活を送ることができます。ただし、パーマやカラーリングなどの施術は、頭皮への負担を考慮し、1ヵ月以上経ってから行うのが望ましいです。また、頭皮を強くこする可能性のあるスポーツは、1ヵ月程度は控えるようにしてください。
治療当日の洗髪は厳禁です。移植部をこすらないように注意してください。
翌日〜6日目は、優しく泡で洗います。頭皮をこするのは厳禁なので、ふき取りはタオルにひっかかりに気を付けて、ドライヤーの送風などで乾かしてください。
こすり洗いが可能になります。頭皮を充分に湿らせた後、指先で優しく洗い、はがれているカサブタは落とすように洗髪します。爪などで無理にカサブタを剥がさないでください。整髪剤の使用は可能ですが、頭皮に刺激のある整髪剤は1ヵ月間は控えてください。14日目以降は、植毛前と同じように洗髪できます。
自毛植毛において、1,000グラフトの移植は比較的少量とされ、主に狭い範囲の薄毛やM字型の薄毛の改善に用いられます。しかし、少量とはいえ手術を伴うため、副作用のリスクがあることも理解しておく必要があります。自毛植毛後に起こりやすい副作用としては、頭皮の炎症や感染などが挙げられます。移植した毛根がしっかり生着するためにも、手術後のケアは重要であり、クリニックの指示に従うことが大切です。
また、必ずしも自然な仕上がりになるとは限らない点も念頭に置いておく必要があります。デザインや密度によって仕上がりが左右されるため、事前に医師としっかり相談することが重要です。
移植するグラフト数が少なすぎると、気になる部分を十分にカバーできません。一方で、多すぎるとバランスが崩れたり、費用が高くなってしまう可能性があります。そのため、自分に合った適切なグラフト数を見極めることが大切です。
植毛は移植するグラフト数に応じて費用が変わるため、必要以上に移植すると無駄なコストがかかってしまいます。また、過剰に植毛をすると、その部分だけボリュームが増してしまい、全体のバランスが不自然になることもあります。さらに、自毛植毛では自身の毛包を採取するため、移植するグラフト数が増えれば、それだけ採取するグラフト数も多くなります。ドナー部(後頭部、側頭部)への負担を考慮することも重要です。
クリニックごとに、推奨されるグラフト数の目安が異なることがあります。そのため、いくつかのクリニックを比較し、自分にはどのくらいのグラフト数が適しているのかを検討するとよいでしょう。複数のクリニックでカウンセリングを受け、納得のいく施術計画を立てることをおすすめします。
まずは、自分の薄毛が気になる部位と範囲を確認してみましょう。多くのクリニックのホームページには、部位ごとの目安となるグラフト数が紹介されていることが多いので、事前にチェックしておくと参考になります。おおよその必要グラフト数を把握しておくことで、カウンセリング時の相談もスムーズになります。
植毛は決して安い施術ではないため、事前に費用の上限を決めておくことをおすすめします。無理のない範囲で予算を設定し、その金額を基準に移植グラフト数を検討するのも一つの方法です。費用と効果のバランスを考えながら、最適なプランを選ぶことが大切です。
クリニックのホームページには、実際の手術例が掲載されていることが多いため、自分の気になる部位と似た症例をチェックしてみると、手術後のイメージが湧きやすくなります。ただし、最終的な移植グラフト数は、カウンセリングで医師としっかり相談して決めることが重要です。また、仕上がりのデザインについても、事前に自分の希望を明確にし、医師に伝えることで、より満足度の高い結果につながります。
AGA治療では、医療による治療方法として主に「薬物療法」と「植毛術」が中心です。しかし、毛根が完全に失われてしまった場合、薬物療法では発毛が期待できず、植毛術が選択されることがあります。薄毛の進行具合や毛根の状態によって治療方法は異なるため、まずはカウンセリングを受け、自分に合った治療を見極めることが大切です。
植毛を行うことで新しい毛髪が生着し、成長していきます。特に1,000グラフト程度の植毛であれば、軽度の薄毛をカバーできるケースが多いとされています。ただし、M字部分だけでなく頭頂部まで広範囲の薄毛をカバーしたい場合は、1,000グラフトでは不十分なこともあります。そのため、希望する仕上がりに応じて必要なグラフト数を医師と相談しながら決めることが重要です。
自毛植毛で移植された毛髪は、もともと生えていた場所の特性を引き継ぎ、新しい部位に生着した後も成長を続けます。しかし、植毛を行った後にAGAが進行した場合、せっかく植毛をしても、全体のバランスが悪くなり、効果が半減してしまうこともあります。
自毛植毛自体は基本的に内服薬を必要としません。しかし、植毛の効果をより長く維持し、周囲の毛を守るために、内服薬の併用を勧めることがあります。AGAの進行度や将来的な髪の状態を考慮し、医師と相談しながら治療計画を立てることが大切です。
薄毛は男性だけでなく、女性にとっても身近な悩みの一つです。分け目が目立つようになったり、地肌が透けて見えやすくなったりと、薄毛に悩む女性は少なくありません。男性の薄毛は、主に遺伝や男性ホルモンの影響によるものとされています。一方、女性の薄毛は原因が多岐にわたり、老化やホルモンバランスの乱れ、ストレス、過度なダイエット、内科的疾患などが関係していることがあります。さらに、髪をきつく結ぶ習慣があると、常に引っ張られることで毛根に負担がかかり、生え際、こめかみの薄毛の原因となることもあります。一般的に、女性の薄毛は適切なケアを行うことで改善しやすいといわれています。男性に比べて遺伝的な要因の影響が少ないため、原因に合った対策をとることで、髪のボリュームを取り戻せる可能性があります。
植毛大国トルコの毛髪移植クリニックで1,000グラフト植毛する場合、日本の3分の1から5分の1程度の料金で手術が可能です。また、韓国の場合、日本の2分の1程度の料金で施術が可能です。しかし、リスクや渡航費用なども考慮に入れる必要があります。
植毛の効果を左右する大きな要素の一つが「生着率」です。生着率とは、移植した毛髪がしっかりと生着し、成長し続ける割合を指します。一般的に、日本のクリニックでは生着率90%以上を目指す手術が行われており、高度な技術と手厚いアフターケアが提供されています。一方、海外の格安クリニックでは生着率が70〜80%程度にとどまることもあり、同じグラフト数を移植しても、日本の方が効果的に定着する可能性があります。また、日本の植毛は手術前のカウンセリングから術後のアフターケアまで一貫したサポートを受けられる点も大きなメリットです。海外では術後のフォローが十分でないこともあり、万が一トラブルが発生した場合に再渡航が必要になるなど、結果的に追加の費用や手間がかかるリスクも考慮しなければなりません。
価格だけを見れば海外の方が安いことが多いですが、生着率の高さやアフターケアの充実度を考えると、日本での手術は長期的に見た場合の費用対効果が高いといえます。植毛は一度の手術で大きな変化を得られる治療だからこそ、初期費用だけでなく、最終的な仕上がりや維持しやすさも含めて比較検討することが大切です。
自毛植毛は薄毛になりにくい後頭部や側頭部から毛包を採取し、移植します。1回に移植できるグラフト数は個人差もありますが3,000グラフトが限界とされています。1回で気になる部分がカバーできない場合は複数回受ける必要がありますが、一人の男性の後頭部、側頭部から採取できるグラフト数は3,000〜5,000グラフトといわれています。
自毛植毛は上手く生着すれば、普通の髪の毛と変わりません。髪の毛は4~6年で自然に生え変わります。そのため移植した毛髪も同様に生え変わります。人工毛植毛の場合は1年ほどで移植した半分ほどが抜けてしまうといわれています。
自毛植毛手術は年齢の制限なく受けることができます。健康な状態であれば高齢の方でも未成年の方でも受けることができます。