AGA内服治療か植毛かの判断の分かれ目とは？どのように解決するのか。

植毛か内服薬か、どう決まるのか

AGAの治療薬ではなく、やはり植毛をおすすめしますか

對馬医師）植毛は、薬剤治療と相対する治療法ではないんです。先に結論を言うと、まずは内服薬。植毛を選択された場合も内服薬は続けることをおすすめします。
お薬を使ったことがない患者様で、薄毛の進行が遅い方の場合は内服薬だけというのもいいと思います。稀に内服薬が効かない方もいますが、進行を遅らせるという意味では90%以上の方に効果が現れていますし、内服薬でボリュームが増す方もいますから。ただし、効果に限界があるので、内服薬で若い頃のボリュームを取り戻したり、額のラインを元通りにしたりするのは難しいと思います。

薄毛の部位によっても、お薬だけか植毛かの判断が分かれますね。内服薬は頭頂部には比較的効果が出やすいですが、額や側頭部には効果が出にくいのです。頭頂部の透け感が少し気になる程度の場合は、まず内服薬がいいでしょう。必ずしも植毛をおすすめするわけではないので、そのようにお話ししています。

植毛をしても内服薬は必要ですか

對馬医師）基本的には、術後も内服薬をおすすめします。
植毛は、薄毛の部分にAGAの影響を受けない髪を移動させる治療。内服薬は、薄毛の進行を遅らせる治療です。植毛しても元々あった髪はAGAの進行を受け続けるので、植毛した直後は満足いっても、長い時間を経るとバランスが変わってきます。

例えば額の生え際に植毛した場合は、AGAが進行していくと極端な話、移植毛だけが残るということもありえます。頭頂部までほとんど髪がなくなって生え際だけ残ると気になりますよね。過去に一人だけ、そういった患者様にお会いしました。10年前に額のM字を植毛しましたが、内服薬は飲まなかったそうです。隙間を植毛で埋めて自然に見えるようにして解決しましたが、そういう例もあります。

AGA内服薬や植毛で効果がない薄毛を、見分ける

基本的には内服薬で、植毛したら両輪の治療になるのですね

對馬医師）そうですね。ただ、どちらも効果がない例もあるので注意は必要です。薄毛の原因がAGA以外の場合です。

円形脱毛症の場合は、AGAとは違うメカニズムで髪が抜ける病気なので、AGA内服薬では治りません。植毛してもその髪は周囲と同じように抜けてしまうんです。円形脱毛症の場合は、まず皮膚科で治療を終えていただいて髪が生えてきてから、そこにAGAを発症しているかどうかを判断します。
抗がん剤の影響で薄毛になった方がいらっしゃることもあります。その場合も、抗がん剤治療を終えてしばらく経過してからでないと判断できません。

AGA以外の薄毛はどのように見分けるのですか

對馬医師）まずは、ヒアリングでいつからどのように進行したのか伺います。次に診察で、薄毛の状態、形状範囲、皮膚の状態などを確認します。その二つで大体はAGAかどうかの判断ができます。

しかし、ごく稀に一見AGAにしか見えないのにそうではないという例があるのです。それは判断が難しいものも含まれます。
一般的な円形脱毛症は、薄毛の形状でそれらしいとわかりますが、中にはAGAと非常に類似した円形脱毛症もあったりします。断定するには毛根を顕微鏡で観察したり、細胞診も必要とします。
そういった知見を集積していくために、当クリニックでは外部の専門家をお招きして勉強会も開いています。先日は、皮膚科の権威である先生に講師をお願いしてそういった鑑別点をご教授いただきました。

誇りがあるから、植毛をすすめない場合も多くある

すぐ植毛ではなく、慎重にされている印象を受けました

對馬医師）低侵襲、部分麻酔、日帰り施術と言っても、やはり植毛は一度は体に傷をつける行為ですから、慎重なくらいがちょうどいい。植毛は直接的かつ有効な手段ですが、内服薬で済むなら、それでいいと思うんです。
本当にご不要だと思う患者様には、「まだ気にされなくても大丈夫ですよ。お薬で様子を見てからでも間に合いますからね」とお話ししています。アドバイザーたちも、髪型や洗髪のアドバイスだけしてカウンセリングが終わることがよくあります。本当に、無理に施術をおすすめしないというのは当クリニックの特徴かもしれません。

植毛は必要ないと言われた患者様は、納得されますか

對馬医師）喜んで下さる方が多いですよ。「まさか、そう言ってもらえるとは思っていなかった」と。もちろん、単に私たちの美意識でお断りしているわけではありません。メリットとデメリットをご説明した上で、それでも植毛したいかどうかの判断は患者様に委ねています。
そこを丁寧にやらずに、誰にでも安易に植毛をおすすめしていたら、医療に携わる人間として続きません。提供している技術に自信と誇りがあるからこそ、それはとても大事にしています。

植毛を提供しているクリニックですが、究極的には髪を生やすことが目的ではないと思っています。患者様を幸せにすること、悩みがなくなること。ここに尽くしていきたいのです。