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FUTからFUE、刈らない植毛の確立。さらに進化する植毛技術

  • CREATE: 2019/08/23
  • UPDATE: 2023/02/17
對馬先生

植毛技術はまだまだ進化する。トライする気持ちがあるかどうか。

患者様に負担が少なく成果を出せる植毛を目指して

切らない植毛を採用されているのはなぜでしょうか?

對馬医師)切る植毛というのは、FUT(ストリップ法)と呼ばれるもので、ドナーからメスで頭皮を切除して株分けします。切らない植毛は、FUEと呼ばれるもので、グラフトを1つずつパンチで採取します。採取方法の違いですね。
私はFUEもFUTも経験がありますが、FUEの方が絶対いいって言えますよ。術後の痛みも少ないですし、FUTは頭部に大きな一本傷ができ、最低一週間は痛みが続きます。長ければ二週間ほどは痛みがあると聞きます。

FUTは皮膚を縫い縮めるため、施術できる回数も限度があります。FUEなら採取部分の髪の密度の様子を見ながら、採取できるだけの密度があれば何度も施術することができます。
また、FUEはパンチで一つずつ採取するので、グラフトを選ぶことができるというのもメリットです。植える場所に合わせて一本毛や二本毛を計算して採取したり、元気な太い毛を選ぶこともできるので、仕上がりに差が出ると思います。

 

切らない植毛にデメリットはないのですか?

對馬医師)FUEが世に出た当時は、優れた専用の機具がなかったので苦労しました。採取が非常に難しく、一度の施術でできるグラフト数もずっと少なかったです。アイランドタワークリニックに来て、パンチの精度には驚きました。切れ味がいいし、こんなに速く採取できるんだと。これなら植える量も多くできると思いました。

唯一のデメリットは、コストですね。FUTよりも費用は高くなります。高価なパンチを施術中に何度も取り替えて使い捨てなければなりませんし、非常に難しい症例も採取しやすい症例も同じ費用でご提供するため、仕方のない部分はあるのですが。
一個人としては、本当はもっと手頃な費用でご提供したいです。患者様思いという面で言うと、やはり多少デメリットがあっても安い方がいいというニーズが絶対的にあると思うんですよね。
ただ、FUTしかなかった当時はそういうものだと思われていたのですが、FUEのある現在は、やはり痛みがあるFUTは患者様に勧めづらいです。

對馬先生

よりよい方法を求めて、常にアンテナを張る

新しく登場している、刈らない植毛とはどんなものですか?

對馬医師)パンチでドナーを採取すると同時に、採取部分の髪をパンチで一緒に切る方法です。従来法は、採取部分の剃毛を必要としていました。刈らない植毛なら施術部位をヘアシートで隠す必要がなく、早く日常生活に戻っていただくことができます。
これを国内で最初に行ったのはアイランドタワークリニックですが、アイデアが独自なわけではなく、施術方法自体は海外から持ち帰ったものです。僕が入職した当時は、採取部分の髪を一本ずつチョキチョキ切るという方法で「刈らない植毛」を試みていたんですね。それでは効率が悪い。
そうしていた理由は、パンチで髪を切ると刃こぼれするのではないか、切れ味が落ちるのではないか、髪を切る時に芯がずれてグラフトを傷つけるのではないか、と言われていたためです。先ほど、施術中にパンチを何度も取り替えると言いましたが、パンチの刃は非常に繊細なのです。しかし、意外と刃が優秀なことがわかりました。
やってみると、髪の毛とドナーの同時切除に成功。術後もきちんと生着して結果が出ました。最初は一度に施術できる植毛数が少なかったですが、ベースとなる技術を確立したら磨いていくだけです。私が名古屋院の院長となった2014年にはもう本格的にこの技術に取り組んでいました。今では刈らない植毛の方がやりやすいです。やり方ひとつ、トライする気持ちがあるかどうかですね。

 

 

海外の植毛事情はどうなのでしょうか?

對馬医師)世界的には、コストの問題からFUTが主流です。しかし、停滞しているわけではなく、日本にはまだない新しい術式や道具も発表されています。一年に一回、植毛に関する国際的な学会があるのですが、海外のクリニックはそうした発表に精力的だと思います。海外の方がクリニック数も多いので、競争が激しいのです。
2017年にチェコで行われた学会では、採取部分の髪をカットすらせず長いまま植毛するノンシェーブの植毛方法が紹介されていました。その話題は非常に盛り上がっていたので、僕も実践しました。仕入れた知識は、いかさなければ学会に行った意味がありません。海外の医師がやっていることは、自分もできないと。
長い髪のまま植毛するためには、従来の円形パンチではなく円を一部欠いたC型パンチを半回転させて使用します。これも独自に開発を行いました。
植毛した髪は一度脱落してしまうのですが、髪が長いまま植毛して生着するということは、結果がすぐに見えるということです。本来は半年以上先にしかわからない自分の髪を見ることができるので、半年間の不安を楽しみに変えることができるのではと思っています。特に、ロングヘアを楽しみたい女性の患者様には喜んでいただけるのではないでしょうか。

 

 

高い技術を標準に。唯一無二を目指さなければいけない

今後、このクリニックの植毛はどうなっていきますか?

對馬医師)刈らない植毛を標準化していきたいと思っています。トラブルもないしヘアシートもなくなるならその方が楽ですよね。トータル的に考えて、刈らない方が絶対優れています。
難しくはありますが、せっかくこういう仕事をしているからには自負を持ちたいというか、唯一無二を目指したい気持ちがあります。千円のヘアカットのようにどこでやっても同じ結果になるなら、自分たちがやる意味がないですもんね。ほかの先生方も、みんなこだわりをもってやっていると思いますよ。
また、一時期人気のあった人工毛植毛への対応も当院では行っています。人工毛植毛は人工の髪の毛を頭皮に埋めるため、すぐに見た目の改善が出来るのがメリットですが、頭皮に異物を埋め込むので頭皮環境は悪化します。日本皮膚科学会でも行うべきではないとされているもので、過去人工毛植毛を行い今後どうすればとカウンセリングにいらっしゃる方もいます。そういった場合は、頭皮に残った人工毛を当院の技術で抜去し、頭皮状況を確認したうえで、自毛植毛をすることで患者様の希望に応えます。

生着率は、すでにかなり高いと思っています。それでも、このように薄毛治療には様々なニーズがありますので、患者様ひとりひとりにあわせて対応できるようにし、基本の技術は少しでも精度を上げていく。能力を100%発揮して、日々ちゃんとした技術を提供していきたいと思っています。
一般的に難症例と言われ、他院で植毛を断られた患者様に対しても積極的に取り組んでいますので、ぜひご相談ください。

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