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どんな状況でも対応できるよう、急変を想定したシミュレーション

  • CREATE: 2019/09/04
  • UPDATE: 2023/07/22

万が一に備えて、ありとあらゆる備えを

採血で倒れてしまう人がいる。それなら何をするべきか

患者様の具合が悪くなることは、よくあることなのですか?

看護師MZさん)はい。重い症状などはほとんどありませんが、30分や1時間様子を見て休憩するということは、時おりあるんですよね。よく起こるのは採血の時です。健康診断の時に、「採血で気分が悪くなったことはありませんか」と聞かれることがありますよね。「血を抜いたから気持ち悪い、フラフラする」とおっしゃる方はけっこういます。倒れてしまう方も珍しくはありません。でもこれは、血を抜いたことが原因ではないんですよ。

例えば、施術直前には点滴用のルートを確保するために静脈に一度針を入れますが、この処置でも気分が悪くなる方がいます。採血や点滴をせずに針を刺しただけで同じことが起きるのは、心理的なストレスやちょっとした痛みが原因だからなんです。
これは「迷走神経反射」と呼ばれます。強い不安や緊張を感じた時に、運動や内臓の動きを司る迷走神経が失調して、一時的に低血圧になるという症状です。

迷走神経反射は、長時間同じ姿勢をしていることでも起こります。植毛の施術は同じ姿勢を保っていただくので、私たちは施術中に患者様の様子を常に観察しています。

 

 

迷走神経反射が起きたら、どうなるのですか?

看護師MZさん)頭痛やめまい、吐き気、発汗などが起こり、ひどい時は失神します。一時的な貧血状態なので、体勢を変えて緊張をほぐしたり、足を高く上げることで回復します。当院の場合は、施術中でもご気分が悪くなったら中断して休んでいただくことができます。
それ自体が命に関わるようなことはありませんが、迷走神経反射で注意しなければならないのは、倒れて怪我をする可能性があることです。私たちは患者様を、その二次被害から守る責任があります。そのため、当院では採血や点滴を取る時に、寝台にもなる大きな医療用リクライニングチェアを使用しています。コンパクトな丸椅子を使う医療機関が多いですが、考えられるリスクには万全の備えをしようと看護師が声を上げて改善しました。
過去にご気分が悪くなったことがある患者様は、最初から横になった状態で採血し、採血後にふらつかないか注意するよう申し送りもしています。

私の感覚ですが、「注射は苦手なんです。怖いなあ、嫌だなあ」と口に出す方よりも、じっと我慢してしまう方の方がなりやすいなと思います。
迷走神経反射は、若い健康な方にも起こります。不安な時、おかしいなと思った時、冷や汗を流しながら我慢しないでいいんです。つらいときはすぐにお伝えください。

 

一度も起きていない緊急時に備えて

迷走神経反射以外の原因で、具合が悪くなることはありますか?

對馬医師)心臓が止まったり呼吸が止まったりという急変は、街中で歩いている人が急になることがあるのと同じことで、私たちのクリニックの中でもあるかもしれません。施術中でもそうでなくても当クリニックにいらっしゃる間にそれが起きた時にどうするか、という用意はしています。

看護師MZさん)蘇生用の薬品やマスク換気のセットを入れた救急カート、AEDは各院に常備しています。救急カートの中身は一か月に一回、薬品の期限や酸素ボンベが動くかどうかを確認します。AEDは使い捨てのバッテリーで動くのですが、いざという時に使えないと困るので電源があるかもチェックします。

對馬医師)AEDは医師も看護師もみんなスムーズに扱えるようになっています。看護師は蘇生用の訓練キットを使って心臓マッサージの練習もしています。

 

心肺蘇生法は、医療従事者なら誰でもできるものですか?

對馬医師)心臓マッサージは技術が要りますね。かける力もリズムも、トレーニングによって習得できるものです。AEDは適用できる場合とできない場合があるので、心臓マッサージとセットで行えるようになっているほうが万全です。その技術が必要になる時がこない方がいいのですが、準備はしておかなければならないというのが当院の考え方です。
救急車は到着まで早くても5分はかかるので、その間に心停止した人の血流をできる限り動かさないと脳の不可逆的変化が起きてしまう。救急車を待つ間に何ができるかで、その人が社会復帰できるかどうかが変わります。心臓マッサージは大事です。

看護師MZさん)でも、日頃からそれに関わっていないと技術はピンキリです。自動車の教習所でも心臓マッサージを習いますけど、一度習ったからといって誰でもできるかと言えば、そんなことはないですよね。
だから、定期的に心肺蘇生法の講習を行うことになりました。前回のデモは、グラフト採取時に心肺停止になった想定で行いました。体位変換を練習するためです。グラフトの採取はうつぶせの状態で行うので、すばやく仰向けにしないと蘇生措置が遅れてしまいますから。
実際に使用しているベッドの上で体位変換をやってみたら、救急ICU出身の看護師は他のスタッフとは動き方が全然違うんですよ。指示を出してコミュニケーションを取りながら動けるかどうかは、知識として知っているかどうかとは別。急な対応もでリーダーシップを取れる人がいるということは、すごく心強いなと思いました。こういった院内研修を通じて、経験知を共有することは、非常に重要だと思っています。

 

 

医療従事者だけではなく、スタッフ全員に浸透させる

可能性を考えるときりがないですが、救命措置は誰でもできた方がいいですね

看護師MZさん)そうですね。医療従事者でないと難しいこともありますが、ちょっとした知識があるだけでも違うと思います。
例えば、カウンセリング中に患者様が倒れてしまったとします。そのような時は、急いで医師や看護師を呼ぼうとその場を離れてしまいますよね?しかし、本当はその場にいて離れないのが正解なんです。その方の様子を把握して、かけつけた医療関係者に状況を説明しなければならないからです。院内なら電話の内線で人は呼べますもんね。そういったちょっとしたことも院内で共有することで、患者様の安全を守っていきたいと思います。

緊急時は誰でも動揺するので、繰り返しの訓練が大事だと思います。心肺蘇生のデモでは様々なシチュエーションを想定して繰り返していく予定です。そうすることで、対応力が鍛えられていくと思います。

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