当院の医師が植毛について専門的に解説します。
植毛について知っておきたい5つのこと
自毛植毛は、元来、頭部瘢痕(はんこん)性脱毛症部分への毛髪再建を目的として生み出され、現在の薄毛治療に活かされています。薄毛の主な原因とされるAGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい後頭部や側頭部から自分の髪の毛を採取して、髪が生えなくなった場所や薄くなった場所へ移植する外科的な治療法です。AGAに強い部分の毛包を組織ごと移植するので、AGAが原因で完全に髪の毛が生えなくなった前頭部や頭頂部へ移植してもその影響を受けにくいのです。また、自分の髪の毛を移植するので拒絶反応もなく、一度生着してしまえば半永久的に生え変わるのが特徴です。
人工毛植毛は、合成繊維などで作られた人工毛を特殊な植毛針を用いて、1株1株頭皮に埋め込んでいく方法です。人工毛は異物であるため、免疫拒絶反応により頭皮に炎症や化膿が発生するといった副作用が多数報告されており、「男性型脱毛症診療ガイドライン」でも推奨されていない方法です。また、人工毛は一度抜け落ちると繰り返し施術が必要となるため、頭皮が痛み弱ってしまいます。日本では、植毛と聞くと人工毛植毛をイメージしてしまい、植毛には副作用があると思ってしまう方が多い印象です。
当院で行なっているのは主に自毛植毛となります。薄毛治療の中に内服薬や外用薬などもありますが、当院がなぜ自毛植毛を専門としているのか薄毛の仕組みの観点から説明していきます。
AGA(男性型脱毛症)は成人男性によく見られる症状で、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンが原因で発症する進行性の病気です。
体内には血液を通して全身を巡る、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンが分泌されています。そのテストステロンが5α-リダクターゼ(5α-還元酵素)という変換酵素と結合するとDHTになります。DHTは脱毛を促すシグナルを発信し、ヘアサイクル(毛周期)の成長期間を短くします。
通常、2〜6年あるとされる成長期は僅か数ヶ月から1年ほどに短縮してしまい、生涯で決まっているとされるヘアサイクルのサイクル数を早期に回し終わってしまうのです。こうなると毛根は死滅し、薄毛が徐々に進行していきます。これが、AGAの原因です。
現代の医学では、AGAは完治できるという科学的な根拠はありません。そのため、放っておけば進行し続けます。 だからこそ、薄毛に悩み始めたら有効な治療を早期から始めることが推奨されています。
より詳しくAGAの原因について知りたいからはこちらのページをご覧ください。
AGAは進行性で完治は難しい病気ですが、有効とされる治療方法はいくつかあります。それは、「男性型脱毛症診断ガイドライン」でも推奨されているデュタステリド内服、フィナステリド内服、ミノキシジル外用、LED治療、自毛植毛の5つです。
当院が自毛植毛にこだわっている理由は、髪の毛の生えなくなった部分へまた髪の毛を生やす手段として、自毛植毛が一番確実であると自負しているからです。
AGAの進行を遅らせる治療としてAGA治療薬が有効とされていますが、それは、まだ毛根がある程度生命力がある段階で服用するからです。例えば、ヘアサイクルを終え、毛根が完全に死滅した部分には効果は感じにくくなるでしょう。人の命を蘇らせられないように、死滅してしまった毛根も蘇らせることはできないのです。
自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の髪の毛を採取して、髪の毛が生えなくなったり薄くなったりしてしまった部分に、状態の良い毛根を毛包ごと移植するので、そのような部分にも再び髪の毛を生やすことができる治療法なのです。このように、AGA治療薬で満足のいく結果が得られなかった方には、植毛は有効な治療法と言えます。ただし、それ以上の進行を防ぐために内服での予防も大事になります。
自毛植毛は、主に「移植株の採取」「移植床の作成」「移植株のインプラント」の3工程にわけることができますが、それぞれの工程に様々な術式があります。ここでは、移植株の採取で代表的なFUT(ストリップ法)、FUE(ダイレクト法)の2つの術式について説明します。
AGAの影響を受けにくい後頭部から、皮膚を帯状に切り取りドナーとなる毛包組織を一度にまとめて採取し、その後、1つ1つの毛包にメスで切り分けていきます。一度に多くの毛包を採取できるため、医師の施術時間を短縮でき、負担も少ないため、他の自毛植毛よりも費用は安い傾向にあります。しかし、FUTは皮膚を帯状に切り取る必要があるため、傷口が大きく術後の痛みも強くなります。また、切り取った後は上下の皮膚を引き寄せて縫合するため、1本線の長い傷跡が永久に残ってしまいます。
直径1mm以下の口径の筒状の特殊なパンチを使用して、毛包の採取を行います。AGAの影響を受けにくい後頭部から1本毛〜4本毛の毛包を1つ1つ選んで採取できるのが特徴です。また、メスを使用しないので圧倒的に術後の痛みも少なく、傷跡も目立ちにくくなります。集中力と技術力を要する施術なので、従来は大量の植毛施術には向かない術式とされていましたが、医師や医療機器の技術改善によって、当院含め他のクリニックでもメガセッション(1時間に1,000株以上の採取)ができるようになってきたため、患者様の負担が少ないことから、この術式が現在主流になりつつあります。
当院の術式の基盤はFUEとなっています。当院の「i-Direct」は、植毛の3つのステップをオリジナル専用機器や熟練された技術を組み合わせ、極限までデザイン性と生着率を高めた独自開発した自毛植毛法です。
グラフトの採取
独自開発のチューブパンチで植毛の効果を最大限に。メスを使用しない採取により負担を軽減。
ホールの作成
優れたデザインと自然な仕上がりを実現する、高精度の移植ホールを作成します。
ドナーの移植
空気圧を利用したインプランターで、採取した毛髪へのダメージを最小限に抑えます。
「i-Direct」の採取では、1mmをさらに下回る直径わずか0.8mmの超極細パンチを使用します。後頭部から毛包をまばらに採取するため、採取痕も非常に小さく目立ちにくくなります。
ホール作成では、さらに細い0.6mmの超極細パンチを使用します。この細さで1つ1つの毛穴を作成することにより、毛流に合わせた高密度なホール作成を可能にし、生え揃った際に自然な仕上がりになります。
移植の際は、採取したグラフト(毛包)を傷つけないよう丁寧に保存管理し、空気圧を用いるインプラント(移植)で生着率を向上させています。
当院では、熟練した医師陣が患者様の身体の負担を極限まで軽減するために、世界レベルを超えるスピード(※)で正確かつ的確に施術を行います。当院の施術は1日で完了しますので、遠方からお越しいただく患者様でも入院、通院の必要なくご利用していただけます。
※近年の国際毛髪外科学会(ISHRS)で発表された、FUEによる自毛植毛で1時間あたりに採取できる株数によると、世界の平均は1時間当たり400~600株くらいだとされていますが、当院では800〜1,500株の採取が可能です。
当院では患者様が治療をご希望する薄毛の範囲に対応した各治療プランをご案内しております。
どのプランが最適かは、患者様のご希望をお聞きしながら頭部の状態とあわせて決定してまいります。
当院で施術を受けられた方の症例をいくつか紹介いたします。植毛本数や金額、担当医のコメントなども一緒に載せておきますので是非ご参考にしてください。
Doctor's CommentAGA(男性型脱毛症)によってM字が深くまで進行していて、セットしてもボリュームが出ないと悩んでいました。それはAGAにより無毛部が増えたというだけでなく、生え際やM字部分に細い毛髪が増えていたからです。
そのため、AGAの影響を受けていない太い毛髪は残しつつ、M字の奥から高密度で移植床を作成し、下げた生え際のラインと馴染むようデザインしました。
Doctor's Comment20代前半から薄毛に悩んでいて、当院へお越しになった時にはAGAは前頭部から頭頂部にかけて進行していました。
当院で1日に植毛できる最大数の3,000グラフトでは薄くなってしまった部分の全体をカバーすることが難しかったため、生え際に密度を寄せてデザインすることで、前からの見た目の印象を改善するプランをご提案。ご本人にも納得いただき、1年後には大変喜んでいただきました。
植毛について、ご理解いただけましたでしょうか。薄毛になったからといって全ての薄毛の患者様に植毛が適しているわけではありません。薄毛の進行度合いや、症状に合った薄毛治療があります。当院では自毛植毛を専門としておりますが、当院のモットーは全ての薄毛患者様と真剣に向き合うことですので、無理に植毛を勧めたりはしませんし、ご納得いただいた上で、他の治療のご提案もいたします。
是非一度、無料カウンセリングへお越しくださいませ。
まず、植毛という治療には大きく分けて2種類、自毛植毛と人工毛植毛があることをしっかりと覚えておきましょう。