今を振り返り、医師が切磋琢磨するためのカンファレンス
- CREATE: 2019/05/15
- UPDATE: 2023/02/17
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- UPDATE: 2023/02/17
カンファレンスは意志決定の大事な場
年間を通してカンファレンスを意識して行う理由
カンファレンスとはどういうものですか
安倍医師)症例について話し合い、解決策を見つけていく大切な会議です。症例検討会と言ったり、患者検討会と言ったりもしますね。
どちらかと言うと、外科医はカンファレンスよりも現場を重視する世界かもしれません。他の科に比べると、どうしても担当医の手技に結果が左右されるので「見て覚える、体で覚える」という部分が多いんですね。一度見たら覚える、覚えたら次は実行できる、ということが求められる職人的な仕事です。
アイランドタワークリニックでは医師個人の努力はさることながら、カンファレンスで情報共有することを大切にしていると思います。
それはなぜでしょうか
安倍医師)症例の検討というのは、簡単に言うと振り返りなんです。反省するところは改善点を明確にし、よいところは共有する。それをしない組織は、前に進みませんよね。
症例検討のほかに、意思統一の場としてもカンファレンスが機能しています。当クリニックは、新宿、名古屋、大阪、福岡と四院ありますから、医療に関する見解で医師ごとにブレがあってはいけません。全体の意思をここで決定していきます。だいたい三か月に一回はカンファレンスを実施し検討事項を協議しています。決断はいつもスピーディーです。
今の改善点を見つけ出す。次の技術について検討する
具体的にはどのような症例について話し合うのですか
安倍医師)主には、特殊な症例、難しい症例についてです。例えば、想定よりも生着率が低かった場合や合併症が生じた場合は、その原因が何だったのかを話し合います。密度が高すぎたのではないか、採取時に毛包を傷つけたのではないか、などといった検討がなされます。施術後に腫れが出た症例については、手順のどこを見直すべきだったのか。改善点をはっきりさせていきます。
医療ですので、100%の結果が出ないこともあるのは事実です。患者様の健康状態や元々の体質など、不確定な要素は常にあります。しかし、どんなに難しくても100%を目指さなければいけない。医師には永遠の課題です。
意思統一としての話し合いでは、どんな内容を話すのですか
安倍医師)医学的な見解を一致させるための話し合いもありますし、クリニックが採用する植毛方法、道具、サービス、すべてについて話し合います。
新しい植毛技術についてアンテナを張るために、学会や論文で得た情報の報告会は重要です。発表された技法や道具を取り入れるべきかどうか、リスクはないか話し合います。
昨年の国際毛髪外科学会で、髪を剃毛せずに長いまま移植する方法が紹介されました。これは価値があると判断したため、実際に施術を行っています。もちろん患者様にはご説明し、ご了承の上でです。まだ数例しかありませんが、結果を待っているところです。次のカンファレンスでの報告に期待しています。
安倍医師)今使っている道具の改良も大事なテーマです。例えば、採取に使うチューブパンチの使い勝手をよくするためにはどうしたらよいか。過去には、詰まりやすい問題を解消するために、形状を見直しました。
また、使用済みのパンチの刃先をマイクロスコープで撮影して研究したこともあります。チューブパンチは薄く繊細な刃物なので、使っているとすぐに切れ味が鈍ってしまうんです。施術中に刃先にピンセットを入れて高速回転させると、即席ですが研ぐことができる。これは、交換するより早いからと医師が感覚的に編み出した技です。そのため、刃先が具体的にどうなって切れ味が変わるのか、よくわかっていないんですね。それを調べてみようということになりました。
このような探求は大事だと思います。今後も飽くなき探究心を持ち続けたいと思います。
他のドクターの手技からも、学び続ける姿勢
よりよくしていくために、色々なテーマがあるのですね
安倍医師)最後に大事な内容は、良かったことの共有です。こんな風に施術をしたらスムーズにできた、こんな風にデザインしたら自然にできた、と。
アイランドタワークリニックでは毎日手術がありますので、他の医師の手技を見ることができ学びとなります。より良くなる技術については施術風景を記録し、共有することで高い技術水準をさらに進化させることができます。このようなクリニック全体の取り組みとして、カンファレンスは重要な役割を担います。
技法は同じでも、些細なところに医師ごとの違いがありますからね。例えば、髪をわける時の櫛使いだったり、看護師との連携の仕方だったり。そういった細かいことが、意外と大事になってくるわけです。
植毛は同じ工程を何百回、何千回と繰り返す施術なので、秒単位の動きの無駄を削らなくてはいけない。積もり積もると、施術時間の大きな短縮になります。
自分のやり方だけではなく他の医師のやり方を見て、少しでも良いところは取り入れていく。それが我々の日々の鍛錬につながっていると思います。
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