
2025/06/26
薄毛や抜け毛が気になる方の中には、「湯シャンが髪に良い」と耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。湯シャンとは、シャンプーを使わずにお湯だけで髪と頭皮を洗う方法を指します。乾燥や炎症による頭皮トラブルの改善を促し、ヘアサイクルを整えることで抜け毛の減少や髪の成長をサポートする効果が期待されています。さらに、髪や頭皮への刺激を最小限に抑えられるため、薄毛予防にも一定の効果があるとされ、近年注目を集めています。
本記事では、湯シャンと薄毛予防の関係性や、湯シャンの注意点、正しい湯シャンのやり方について紹介します。当記事を通して、薄毛でお悩みの方の参考になればと思います。
湯シャンとは、シャンプーを使わずに38〜40度くらいのお湯で頭皮と髪の毛を洗うことです。湯シャンは、界面活性剤を含む市販のシャンプーを使用しないため、頭皮の油分を必要以上に洗い流さずに済む点が特徴です。そのため、頭皮の乾燥対策やフケ、かゆみ防止に効果があるとされています。日本では、アトピーや乾燥肌に悩む人の間で注目されています。
髪の毛と頭皮を健やかな状態に保つためには、毛穴周りの皮脂バランスと角質層の水分量が適切に保たれていることが大切です。市販のシャンプーは「高級シャンプー」と呼ばれるもので、界面活性剤を多く含んでいます。界面活性剤は洗浄力に優れていますが、必要な皮脂を過剰に洗い流してしまうことで、バリア機能を低下させやすいという点がデメリットです。
一方で、湯シャンはお湯の温度と水圧によって皮脂を溶かし、余分な汚れだけを洗い流します。界面活性剤が入っているシャンプーを使わないことで、頭皮の潤いを保ちながらも、髪の毛の汚れは落とすことができるという点において、湯シャンは髪の毛に良いと言われています。
湯シャンには、フケや乾燥を抑える効果が期待できます。市販のシャンプーは髪や頭皮をきれいに洗浄することを目的としているため、洗浄成分によって頭皮環境が悪化し、乾燥やフケが増える可能性があります。一方で湯シャンは、お湯やぬるま湯で洗髪するため、過剰な刺激を与えず頭皮を健やかに保てます。さらに、皮脂の過剰分泌を防ぐ効果もあります。シャンプーの強い洗浄力で必要な皮脂まで落としてしまうと、バリア機能を回復しようと皮脂分泌が増えてしまいますが、湯シャンなら適度な皮脂を残せるため、皮脂過剰を防げます。
また、湯シャンは湿疹やかゆみの軽減にもつながります。シャンプーに含まれる刺激成分は、頭皮の小さな傷を悪化させたり、脂漏性湿疹を引き起こすリスクがありますが、湯シャンならその心配がありません。さらに、湯シャンを続けることで頭皮環境の改善も期待できます。ただし、髪や頭皮にはヘアサイクルやターンオーバーといった周期があるため、効果を実感するには数週間程度継続することが大切です。
薄毛の原因は、遺伝やホルモンバランスの影響、血行不良、生活習慣など様々ですが、薄毛の原因の一つに、頭皮の環境の悪さが関係していると言われています。洗浄力が強すぎるシャンプーを毎日使うと、皮脂が足りなくなり頭皮が乾燥し、角質層のバリアが薄くなることで、頭皮のトラブルや炎症が慢性化しやすくなります。このような頭皮の状態は、抜け毛が増えやすい状態です。
一方で、湯シャンは必要以上に皮脂を洗い流すことがないため、薄毛予防効果が期待できます。薄毛にお悩みの方は、湯シャンを試してみて、乾燥などのトラブルや炎症のない頭皮環境を整えることが大切です。
薄毛予防効果を高めるためには、湯シャンと同時に実践できる「薄毛対策」を取り入れることがおすすめです。たとえば、頭皮マッサージを湯シャン中に行うことで、血行が促進され、毛根に必要な栄養が行き届き、健やかな髪の毛が生えやすくなります。また、湯シャンの後に育毛剤を使用することもおすすめです。湯シャンで毛穴をしっかりと開かせておくことで、育毛剤の有効成分が浸透しやすくなり、より高い効果が期待できます。夏場や汗をかいた日にお湯だけで髪の毛を洗うことに抵抗感がある方は、育毛シャンプーを使うことも薄毛対策として考えられる一つの手です。湯シャンだけに頼るのではなく、いくつかの薄毛対策方法を合わせて行うことで、相乗効果を生み出します。
メリットの多い湯シャンですが、いくつか注意点があります。皮脂の分泌が活発な思春期や脂漏性皮膚炎の既往歴がある人が湯シャンをすると、皮脂やマラセチア菌が増殖し、逆に炎症を悪化させる恐れがあります。皮脂が増えることでニオイの原因ともなるため、注意が必要です。ワックスやオイル系の整髪料を使っている場合は、湯シャンだけでは整髪料を十分に落としきれず、毛穴詰まりを起こしやすいです。そのため、普段整髪料を使っている人であれば、きちんとシャンプーをして髪の毛を清潔に保った方が良いと言えます。また、シャンプーには髪の毛をコーティングしてツヤを出す効果があります。湯シャンを続けることでコーティングが失われると、髪の毛のパサつきが目立つようになり、見た目が悪くなるという点にも注意する必要があります。
乾燥肌でフケが出やすい人、頭皮が敏感でシャンプー後に赤みやかゆみを感じる人、薄毛予防の一環として頭皮の環境を整えたい人は、湯シャンが向いています。逆に、皮脂の分泌量や毛量が多く汗をかきやすい十代、日常的にハード系のスタイリング剤を使用する人、皮脂汚れをすっきり落としたいという人は、湯シャンをすることで清潔感やニオイが気になってしまうかもしれません。
自分が湯シャンに向いているのか知るためには、まずは週に1回シャンプーを辞める日を作り、様子を見ながら頻度を徐々に増やしていくことがおすすめです。「いきなりシャンプーしない日を作るのは心配」という方は、洗浄力の低い低刺激シャンプーと湯シャンを組み合わせるハイブリッド方式で段階的に試すと良いです。
髪の毛を濡らす前に、目の細かいブラシで髪全体を梳かしておくことが大切です。髪の毛を梳かしておくことでホコリや汚れが浮き上がるため、お湯で流すだけでも髪の毛を十分に綺麗にすることができます。お湯の温度は38〜40度に保ち、シャワーヘッドを頭頂部に当てて、一分ほど全体を予洗いします。その後、指の腹で頭皮を優しく押し上げるように小さな円を描きながら三分程度すすぎます。洗い残しがないかを確認し、軽く水気を切ったらタオルで包み込むように押さえ、最後にドライヤーで根元から風を当てて乾かします。髪の毛を十分に乾かすことで、雑菌の繁殖とニオイの発生を抑えることができるため、お風呂から上がった後はなるべく早く髪の毛を乾かすことが重要です。
湯シャンは始めてすぐに効果が出るわけではありません。皮脂の分泌量が安定するまでには二週間から一か月ほど期間がかかるため、しばらくはべたつきやニオイが気になる場合があります。この間は、髪を結ぶ、帽子をかぶる、低刺激のドライシャンプーを併用するなど工夫することで、対処することができます。
また、湯シャンの効果を高めるには、亜鉛やビタミンB群を含むバランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動で血流を促進することが必要不可欠です。湯シャンの効果の現れ方には個人差があるため、すぐに頭皮の環境が改善する人もいれば、なかなか効果を感じられないという人もいます。自分に合っていないと思ったら、無理に湯シャンを続ける必要はありません。