薄毛が「遺伝」なのは本当か

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髪の薄い父親、母方の祖父を見ても薄い。では自分はどうだろう。

俗にいう「薄毛は遺伝する」というのは本当なのでしょうか?

実際の薄毛には様々な要因があり、遺伝によるものは全体の25%程度といわれています。遺伝でその性質を受け継いだとしても、必ずしも薄毛になると決まったわけではありません。

薄毛の原因となる男性ホルモンの影響を受けやすいかどうかは、母方からの遺伝によるところが大きいとされています。母方の祖父が薄毛なら、孫にもその素質が受け継がれる可能性があるということです。

このため、薄毛は隔世遺伝といわれることもしばしばですが、実はそうでもありません。女性(母親)はAGAになることがないため、祖父の薄毛が孫に隔世遺伝しているように見えているだけにすぎないのです。

ただ、AGA(男性型脱毛症)の要因である5aリダクターゼの遺伝子については、父・母関わらず「優性遺伝」として受け継がれることになります。よって、どちらかの親が5aリダクターゼの活性がある遺伝子を持っている場合、子供に活性が現れることがあります。

遺伝による薄毛はAGAと呼ばれ、男性ホルモンであるテストステロンが、5aリダクターゼという変換酵素によりジヒドロテストステロンに変わることで起こります。遺伝による薄毛は実際に存在するのです。

AGA(男性型脱毛症)は遺伝要素が高い

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薄毛、特にAGA(男性型脱毛症)になる原因として大きいのは、親からの遺伝です。

先ほども軽く触れましたが、AGAの発生秩序について改めて考えて行きましょう。

AGAは男性ホルモンである「テストステロン」が、5aリダクターゼという還元酵素と結合することで、薄毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)が大量に生成されます。

このDHTと受容体が結びつくことで「TGF-β」というタンパク質が生成されるのです。

TGF-βタンパク質が、髪の毛を作り出す細胞の動きを阻害し、脱毛命令を発します。この結果新しい毛が生えなくなり、髪の毛の密度が減りAGAになってしまいます。

男性ホルモンであるテストステロンの分泌量には、ほとんど個人差がないといわれています。

しかし、5aリダクターゼの分泌量が多いかどうかは遺伝により決まってしまうとされており、この5aリダクターゼに活性を示す遺伝子は父・母関わらず「優勢遺伝」として受け継がれてしまうため、逃れることは適いません。

人間の機能として5aリダクターゼが、どのように優位に働くかは分かっていませんが、一つたしかなことはAGAは遺伝によって起こるという冷酷な事実だけです。

AGAが遺伝を要因とする薄毛であることは間違いありませんが、薄毛の種類は他にもあります。

日常生活に潜む薄毛要素

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薄毛はAGA(男性型脱毛症)については遺伝する可能性が高いことが分かりました。しかし全ての薄毛について遺伝が関連しているわけではありません。

ターンオーバーの乱れによる毛穴の詰まりや、栄養不足による血行不良、睡眠不足によりホルモンの過剰分泌は毛髪の発育を妨げてしまうため、薄毛の大きな原因になります。

さらに、ほとんど遺伝子が同じな双子を対象に、喫煙習慣、食生活、飲酒暦が薄毛にどんな影響を与えているのか調べた興味深いデータがあります。これによると、太り気味の人(肥満度を示すBMI値の高い人)は標準から痩せ型の人と比べて、薄毛になりやすい傾向が多いことが分かってきました。

現在、薄毛で悩んでいる人でこのような生活を送っている人は、早急に生活習慣の見直しなどの対策を行ったほうが良いでしょう。

しかし、それでも薄毛の進行を止められない場合は、遺伝要因のAGAが起こっている可能性が高くなります。

専門医の診断を受けて、早めの対策を心がけてください。